Seventh Re;Melody

3

  

頬を膨らませて、正面に向き直す。
また、横から風が吹く。
さっきよりも強いその風のせいでほんの少し砂埃が舞うと、カイリが目をしばしばさせた。

「んっ…」
「あれ?ゴミ入っちゃった?」
「は、はい…」

  

目を擦ったり何度も瞬きをするがまだまだ苦戦中。

 

    

   

「こっち向いてみなよ、俺が取ってあげるよ。」

「え!いっいいですってば!」

 

    

  

そんなカイリを見兼ねてかアルフは半ば強引にカイリを自分の方に向かせる。

   

 

 

「いいからいいから、ほら顔上げて。」
「うぅ…」

   

 

  

恥ずかしいけど目は痛い、カイリは困った表情をしながらアルフの言うとおり、
顔を上に向けた。端正な顔が目の前にありやはり心持ち引いてしまう。まっすぐ
自分を見つめる紅い瞳はルビーを思わせる程澄んでいて美しい。

   

 

 

「…ほら、取れた♪」

   

 

  

緊張していたカイリの気も知らず脳天気にヘラヘラしているアルフ。
カイリは恥ずかしさに耐えられずすぐに離れて、ペコリと頭を下げて紅い瞳を見て言った。

  

 

 

「あ、ありがとうございます…あの、アルフさんの赤目ってルビーみたいでとってもキレイですね。」

「そう?」

「赤目の方って珍しいですよね、初めて会いました。」
「そうだね〜赤目は色素遺伝子の誤差によるものだから体には影響しないんだけど、
たまに怖がられて嫌煙される時があったなぁ。」
「え!?キレイなのに…」

「そう?…でも、そんなに見つめられるとさすがの俺も恥ずかしいかな。」

 

 

    

  

カイリが食い入るように紅い瞳に見入っていると恥ずかしそうにアルフは笑った。

 

 

 

 

「わゎっ、ごめんなさい!」
「いいよ、カイリちゃんなら。飽きるまで見ててよ。」

 
「〜〜〜///」

 

  

  

嬉しそうに自分の顔を突出すアルフに対し、カイリはバッとアルフから離れて俯いて恥ずかしさを堪えている。

 

 

「あははっ、赤くなって可愛いね♪」

「もう、からかわないで下さいよ…」

  

  

  

アルフはカイリにとって不思議な存在だった。
アルフの側でなら緊張するどころかとても安心する。
始めはチャラい印象があったけれどクリスとはまた違う
住人達の兄貴分的な存在で頼れる優しいお兄さんだ。

    

 

 

「からかってなんかないよーあ、そうだ今度デートでもしよっか♪」

「なっなんでそうなるんですか!?」

「あれ?嫌なの〜?」
「嫌じゃなくて…はっ恥ずかしいんです!」

 

  

 

  

楽しそうにからかうアルフだが、アルフが思っている以上にカイリは恥ずかしがっている。
ここまでくると恥ずかしがり屋にも程がある。
目線すら合わせなくなったカイリは肩を竦めてやや顔を下に向けた。

  

 

 

 

「あははっ、カイリちゃんって本当に男慣れしてないんだね〜
まぁ、そんなところが男心をくすぐるんだけど♪」

「も、もう…からかってばっかりならお部屋戻って下さいよっ!

  

 

 

 

よっぽど気に入ったのかまたも頭を撫でるアルフにカイリはちょっと強気にドアの方を指差して言った。

  

 

 

 

「ふふっ、じゃあそろそろ戻ろうかな♪」

「えぇ、そうして下さい!」

「あの歌が何の歌か分かったら教えてね。」

 

  

 

伸びをして肩をコキコキ鳴らせるとアルフは意味深な笑みを浮かべて後ろを向いた。

  

 

 

「分かりました、だから早く…」

 
「また二人で楽しい楽しい夜を過ごそうね…♪」

 

  

 

急かすように言うカイリの方に振り返りアルフは吐息混じりに耳元で囁いた。

  

 

 

「なっ!変な言い方しないで下さいよっ!」

「あははっ、じゃあまた明日♪」

 

 

最高潮に真っ赤になるカイリにヒラヒラと手を振ってアルフは去って行った。
 

やっぱり彼はとても不思議な人…

  

 

   

  

 

 

 

アルフさんが出て行ったドアの方を向いて、私は胸の前で手を重ねる。
・・・さっきより、すごく安心してて、すごくあったかい気持ちになれた。

  

頑張ってみよう、もうすこしやってみよう、前向きになれたのは
間違いなく、貴方のおかげです。

   

  

ありがとう…