Third In the good afternoon

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「それでどうしますか?この子の名前。」
 
「…んー…俺と同じ金色の毛…でも目の色は違うな。」
 
「アンッ♪」
 

  

 
きれいなふわふわの金色の毛並みは、確かにハイドさんの髪とよく似ている。
なんだかお揃いみたい。
 

 

 
「うーん…金色〜女の子〜…あ!ハニーちゃんなんてどうですか?!」
 
「ハニー…?」
 

 

 
わんちゃんをさすりながらひらめいた私に顔だけこちらを向ける。
小さく首をかしげて訝しげにこちらを見た。
 

 
「金色ですし、女の子だったら可愛いと思いますよ!」
 
「アンッ!」
 

 
「…へぇ、気に入ったみたいだな。」
 

 
珍しく私に機嫌のよさそうな声を出して足元にじゃれついてきた。
ふふっ、やっと可愛らしくなってきたわね。
 

 

 

 
「ふふっ、よーし!今日からアナタの名前はハニーよ♪」

「アンアンッ!」
 

 
ハニーはふわふわの尻尾を振って私とハイドさんの周りをちょろちょろ動いて喜んだ。
良かった良かったと胸を撫で下ろすのも束の間…
 

 

 

  

   

 

  
「…あ…名前をつけたはいいんですけれど…Elusionでは飼えないんじゃ…;;」
 
「!!………そうか…」
 

 
普通に気付くであろう事実にショックを受けるハイドさん。
肩を竦ませてうなだれる姿は普段の偉そうで素っ気無い姿と違っていてドキドキした。
 

…なんだろう…実は結構可愛い人…?
 

 
「と、とりあえずクリスさんに聞いてみましょう?!
もしかしたらオッケィ下さるかもですよ!」
 
「…クリスか…手強いな…。」
 
「大丈夫です!もしかしたら犬鍋の噂も嘘かもですし!」
 
「…そうだな。」
 

 

  
むくれたハイドさんはハニーをギュッと抱き締めて頬にすりよせている。
よっぽどハニーが好きみたい…なんか、ちょっと…ハニーが羨ましいかも。
 

 

 
最近少しずつ距離が縮まってきたと思う。
すごく嬉しい…これからもっと仲良くなれたらいいな…
 

 
 
 
 

 

  

  

 

  
「いけません。」
 
屋敷のリビングにてクリスさんに遭遇するやいなや、
顔をしかめてそう言われてしまいました。
 

 
「でも!お屋敷の中で飼うわけじゃないんです…」
 
「病気になったりしたら大変でしょう。」
 
「でもでも!見て下さいっ!このふわふわの毛とくりくりの目!愛らしすぎます!」
 

 

 
両者一本も引かずの口論…クリスさんにこうやって言うのは初めて。
チキンな私はびくびくしながらこれでもかとハニーを見せつける。
 

 

 
「っていうかハイドさんが言って下さいよ!」
 
「………;」
 
「あれ?…ハイドが連れて来たんですか?」
 

 
居づらそうに黙りこくっているハイドさんは話を振るなといった雰囲気で
目線を空中に泳がせていた。
私に声をかけられて更に言いにくそうな顔をする。
クリスさんは腕を組み指で押さえていた口許から手を放した。
目を丸くさせたクリスさんはハイドさんをまじまじと見た。
 

 
「え?あ…はい。」
 
「…そうですか…。はい、OKです。

 
 
「えぇ…って、
へ?!OKなんですか!?
 

 

 
ハイドさんが…と言うやいなやコロリと態度を変えた。
…意味分んないです…クリスさん…
 

 
「ふふ、わんちゃんがいた方が住人達も心が安らぎますよね。」
 
「は…はぁ……??」
 

 
急に態度が変わるクリスさんに着いてけない…
いつものように優しい笑顔でハニーを抱き上げて体を撫でる。
…食べようとしてないですよね…?
 

 
「…本当にいいのか?」
 
「えぇ、あ、大丈夫ですよ。犬鍋にはしませんから。」
 
「…あ、あはははー…」
 
「…全部見てたのかよ…」
 
「いえ、時々しか見てませんよ。」
 
「…なんつーか…恐ろしいな…」
   

 

  
私達が一番気にしていたことを見透かしていたかのようにクリスさんは
意地悪な笑顔を浮かべて言った。
ハイドさんと二人して「敵わないな」と小さく溜め息をつく。
  

 

  
「うんうん、可愛らしいわんちゃんですね。お名前は?」
 
「…ハニーです!」
 
「ふふふ、これからよろしくお願いします。ハニーさん。」
 
「アゥンッ!」

 

 

 
色々心配もあったけどどうにかなった子犬騒動。
新しい仲間が増えて、これからまた賑やかになりそうです。
  

   

  

  

  
「あっ!こらハニー!!俺のウィンナー食べるなー!!」
 

 
…やれやれ、しつけが必要みたいね…。