First Secret Library

4

 

 
ワイズさんと図書室に閉じ込められて数時間が経過していた。

時計の針は、夕方の4時をさしている。

閉じ込められてからかれこれ3時間は経っている。

一体いつまでこんな状態なんだろう・・・

 

「ワイズさん。」

「・・・」

「ワイズさんッ!!!!!」

「・・・;なんだ・・・。」

「ワイズさんってなんで女の人が嫌いなんですか?」

 

昨日からずっと気になっていたことを聞いてみた。
これから同じ屋根の下暮らしていくのに、彼が嫌っているであろう存在の私は
どう接したら良いのかちょっと気になったから・・・。

するとワイズさんは、眉間にさらに皺を寄せて口元に片手を持って行き、
少し黙りこくってしまった。

「あ、あの・・・」

 

ちょっと・・・気まずい・・・よ。

   

 

 

「・・・別に、嫌いでは・・・ない。苦手なだけだ・・・。」

「・・・そうですか。・・・でも、どうして?」

 

やっと開いた口から「嫌いでない」という言葉を聞いて少し、胸をなでおろす。
そうだよね、あの時はとっさで言ってしまっただけだよね。
ワイズさんの言葉が嘘でも本当でも、そう信じることにする。

 

「・・・あまり女運がよくなくてな。」

「そうなんですか。・・・確かに、あまり女の人と関わってる感じじゃなさそうですもんね。」

「・・・悪かったな。」

「あはは、冗談ですよ。」

  

ムスッとするワイズさんは機嫌を損ねたというよりは、少しすねているように見えた。
よかった、冗談が通じない人ではなさそう・・・。

 

ぐぅうう・・・

 

「あ・・・」

  

くすくす笑っている私に天罰が下ったのか、周り一帯に聞こえるくらい大きなおなかの叫びが・・・。
やっぱり恥ずかしい・・・。照れ隠しの笑いがこぼれる。ワイズさんは至って冷静だけど。

  

「・・・腹、減ったな。」

「そうですね、お昼ごはんできたからーって呼びに来てこんなことになっちゃいましたからね。」

「・・・昼飯、なんだったんだ?」

「え、パエリアですけど・・・」

「そうか・・・。」

「・・・気になるんですね、やっぱり食べ物のことだと。」

「・・・うるさい。」

 

残念そうな顔をしてまた手元の料理本に視線を落とすワイズさん。
そんなに残念がってくれるなら、また今度、今日と同じメニューでお昼ご飯作ろうかな・・・

 

 

 

・・・

  

 

 

「はぁ・・・クリスさん来ないですね・・・」

「あぁ、おかしいな。いつもならもうこの時間にはきているんだが・・・」

 

ワイズさんの腕の時計は夜の8時半過ぎを指していた。クリスさんが来るであろう時間は過ぎている。
誰も来ないと思うと、今までは出てこなかった不安という文字がドンドン頭の中を埋め尽くしていく。

 

「えええ・・・こ、困ります・・・!!ごはんの用意が・・・!!」

「まぁ、なんとかなるだろ・・・。・・・はぁ、またサボりになってしまうな・・・」

「サボり?お仕事・・・ですか?」

「あぁ、夜からしか行かないからな。」

 

自分の不注意でこんなことになってしまって、なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいいっぱいだ。
本人はあまり気にしていないみたいだけれど・・・。

 

「そうなんですか・・・なんだかすみません。」

「べつに。マスターも慣れてるだろうしな。」

マスター?何されてるんですか?」

「・・・まぁ、バーみたいなところだ。」

「へぇそうなんですか、なんだか意外です、もっとインドアなのかと・・・あ。」

「・・・どうせ俺はインドアなイメージだろうな。引きこもりとか、インドアとか・・・ぶつぶつぶつ。」

「あ、すみませんって!そんなこと無いです!そんなことぜんっぜんないですから!」

「お前今インドアってはっきり言っただろ!?」

「あはははは。」

「ごまかすな。」

 

ついポロリと本音が出てしまった。気づいた時は既に遅し・・・
ワイズさんはじとっとした目で私を見て口をすぼめてすねてしまった。

 

「・・・ふふふ。」

「・・・なんだ。」

「ワイズさんって結構喋ってくれるんですね。」

「!?・・・な、何か悪いか?」

「いや、なんだかもっとこう、寡黙でクールで閉鎖的なイメージだったんで、ちょっと意外です。」

「お前、俺のイメージどんだけ悪いんだ・・・」

 

ショックだったのか、落ち込んだ顔をして俯いてしまった。
ごめんなさい、だって正直なところ、そんなイメージだったんです・・・。
でもそうでしょ!?最初すっごい恐かったし!そのあとも全然喋ってくれなかったし!

  

「だって!初対面のとき【さっさと帰れ】ってすっごい恐い顔で言ってたじゃないですか!」

「・・・・・・そんなこと言ったか?」

「言いました!言いましたからね!!忘れたとは言わせません!」

「あーうるさいうるさい、少し黙ってろ。あと、もう敬語使うな。」

「え?」

「同い年だろ、敬語なんか必要ない。」

「あ、は・・・うん。・・・急にどうしたんです・・・じゃなくて、どうしたの?」

「・・・前々から言おうと思ってたんだが、言う機会が・・・いや、タイミングを逃していた。」

「・・・ふふふふふ。」

「な、なんだ・・・」

「ワイズって・・・面白い人ね。」

「・・・お前よりは面白くないがな。」

「あーもーかわいくなーい!」

   

 

 

ダアアアアアアアアアアンッ!!!

 

 

数分後、物凄い轟音がして何かと思ったら、クリスさんがドアを蹴破って涼しげな顔をしていました。
どうやらおなかがすいたらしく、やっと私に気づき探しにきてくれたそうです。

っていうか、蹴破っていいならもっと早く出られたのに・・・とか思ったけど言わない。
絶対に言わない。
だって私が蹴り倒されそうだから・・・;
しかも、クリスさんはなんだかえらくニコニコしていた。
もしかして、私達の話聞いてたりしてたの・・・かな?いや、まさかまさか。

だけど、今日のこの時間があったからこそ、ワイズの一面が見えた。
よくよく考えてみたらすごく有意義な時間だったかな。

それでも、今日のことは誰にも秘密。

   

 

 

そんな、秘密の図書室でのお話・・・